「SLEにおける微量栄養素摂取と動脈硬化」

皆様こんにちは。
ベーチェットに続き、"膠原病と食事"シリーズ(シリーズ化したのか!?)ということで、SLEに関する最近の論文を取り上げてみます。

代表的な全身性自己免疫疾患であるSLEでは、慢性炎症をベースとして(さらには長期のステロイドホルモン投与もあり)、動脈硬化や心血管疾患のリスクが高くなることが知られています(例えばThe epidemiology of atherosclerotic cardiovascular disease among patients with SLE: a systematic review. Semin Arthritis Rheum 43(1):77-95, 2013)。
しかし、これらの病変と食事との関連や、SLEに対するいわゆる「食事療法」はどのようなものになるかについては、まだそれほど明らかになっていません。

今回紹介する論文は、SLE患者さんでは、微量栄養素の摂取が動脈硬化にどう関わっているかについて検討している論文ですが、本文を読めていないので(汗)、抄録から、ごく簡単に紹介します。

Lourdudoss C, et al.
Dietary micronutrient intake and atherosclerosis in systemic lupus erythematosus.
Lupus 25(14):1602-1609,2016
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27334936


111名のSLE患者さんと18名の対象者について、FFQを用いた食事調査のデータとSLEの疾患活動性スコア(SLE disease activity index: SLEDAI)、それに頚動脈エコー(超音波検査)を用いた動脈硬化病変の評価を行い、微量栄養素摂取について、患者さんと対照群との比較、並びにSLE患者さんで疾患活動性・動脈硬化病変との関連について調べました。

その結果、

患者さんと対照群、またSLE患者さんの中で活動性の高い方と低い方とで、微量栄養素の摂取に違いはありませんでしたが、リン摂取と疾患活動性の高さ(SLEDAI>6)とについては関連がみられました。
SLE患者さんの動脈硬化病変に関していくつかの微量栄養素と動脈硬化プラークの間に関連が示され、例えばリボフラビンとリンの摂取が少ないと動脈硬化プラークが起こりやすく (それぞれオッズ比 (OR) 3.06, 95%信頼区間(CI) 1.12-8.40、OR 4.36, 95% CI 1.53-12.39)、セレンやチアミンは、摂取が多いとプラークができにくいという関連があると考えられました (OR 0.28, 95% CI 0.09-0.89、OR 0.26, 95% CI 0.08-0.80)。
さらに、チアミンを多く摂取しているということが、エコールーセントプラーク(超音波で低輝度に見えるプラーク:脂質が多く不安定)と負の相関を示していた (OR 0.22, 95% CI 0.06-0.84)のだそうです。さらには、葉酸不足も両側のエコールーセントプラークと負の相関 (OR 0.36, 95% CI 0.13-0.99)・・と書いてあるようなのですが、これはちょっと本文を読まないと詳細がわかりません。

ということで、

SLEにおいて、食事由来の微量栄養素のいくつかが動脈硬化病変と関連している(リボフラビン、リン、セレン、チアミンが動脈硬化プラークと負の相関)可能性が示唆されました。

・・といった趣旨の論文なのですが、

ていうかConclusionsに葉酸のことが書いてない??

いやこれ、本文を読んでみないと・・ですね。

実は、SLEと"なんらかの栄養素摂取との関連”といった論文は、探してみるとこれまでにも結構出ています。
ただループスの症状が疾患としても個人としても多彩であることから、何をもって「効果」を判断するのかが報告によって異なることもあり、今回のような動脈硬化であればまだしも、全般的ないわゆる”SLEの(寛解導入・再燃予防のための)食事療法”というような形でまとめることに関しては、現状ではまだまだエビデンス不足ではないかと思われます。

今後さらにいろいろ読んでみたいと思いますが、

今回の論文に関連してちょっと興味深かったのが、同じLupusに昨年夏に出ていた報告で

「SLEの精神症状に類似していたウェルニッケ脳症」

という症例(3例)報告です。
SLE患者さんで、最初ループスによる精神症状と思われたのが、実はチアミン欠乏によるウェルニッケ脳症だった、というのですね。

Appenzeller S, et al.
Wernicke's encephalopathy mimicking neuropsychiatric symptoms in patients with systemic lupus erythematosus: a report of three cases and literature review.
Lupus 26(2): 195 – 199, 2016
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27416844


SLE患者さんは、とりあえず「バランスの良い食事」を心がけ、特にビタミンB群に関しては不足のないようにチェックしておくのが良さそうですね。

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