ピルや授乳は関節リウマチの発症リスクを減らすのか?

皆様こんばんは。
いつの間にか9月、新学期の季節となりましたね・・
皆様は夏を楽しめましたか・・(消え入るようなエコーで)

さて、しばらく下書きの状態で置きっぱなしになっていた原稿が発酵しそうになっているので(なんだそれ)、少し書き足してアップすることにします。
書く書くと言っていながらなかなか上げていなかったリウマチの話です。

「経口避妊薬および授乳と関節リウマチ発症リスク:スウェーデンEIRA研究による結果」

Orellana C, et al.
Oral contraceptives, breastfeeding and the risk of developing rheumatoid arthritis: results from the Swedish EIRA study.
Ann Rheum Dis 2017; doi: 10.1136/annrheumdis-2017-211620


よく、「リウマチは女性ホルモンと関連がある」ということが言われますし、確かにそうだと思われるのですが、まだ詳細なメカニズムはわかっていないのが実情です。

ホルモンの変動に関連し、女性にとっては身近な問題として、経口避妊薬(ピル)や授乳がありますね。

この研究では、"経口避妊薬と授乳が関節リウマチ(RA)発症リスクに与える影響"について、スウェーデンの疫学調査 (1996-2014)のコホートデータをもとに検討。
生活習慣や環境を質問紙によって調査し、採血により臨床データを検討、また関節リウマチの診断は専門医によって行われました。

この結果、

経口避妊薬を使っている、または使ったことがある女性では、使ったことがない群と比べてリウマチの発症リスクが13-15%程度低く、特に抗CCP抗体陽性群でその傾向が明らかにみられたということです。また、経口避妊薬の使用期間が長いほどリスクが低下する傾向もありました。

・・・ということは、ピルを飲むとリウマチのリスクが下がる!??

しかしコトはそんなに単純でもないようです。

というのは、この論文では経口避妊薬の使用以外に、タバコを吸っているか、リウマチのリスクとの関連が示唆されている遺伝子(いわゆるshared epitopeやPTPN22アレル)との関連についても見ています。
そのうちタバコについて、喫煙歴のない人(タバコを吸っていない・吸ったことがない人)では、実は経口避妊薬の使用の有無はあまりリウマチのリスクと関連がなかったようです。というより、喫煙者では、むしろ経口避妊薬を使っていない方がよりリウマチに対して高リスクであるという結果が得られたのです。

つまりまとめると、
喫煙歴なし→ピルを使っていても使わなくても、リウマチのリスクに差はなし。
喫煙歴あり→むしろ、ピルを使わない人の方がピル使用者よりリスクが高め。

という結果に。
これについては、タバコを吸っていると静脈血栓症のリスクがあるため、ピルを処方されないことが原因かも、と推測されていますが実際どうでしょう。

授乳については、全体としては授乳期間(母乳を与えた期間:本研究では7年以下、7年以上で分けています)が長い場合にはリウマチ発症リスクがやや低くなるようですが、抗CCP抗体が陽性かどうかで分けてみると、授乳による差は抗体がある群のみで有意にみられ、抗体がない場合にはあまり違いがありませんでした。この場合も、授乳自体というより喫煙と飲酒がこの結果に影響していることも考えられました。

結論としては、
経口避妊薬の使用は関節リウマチの発症リスクを低下させ、その効果は抗CCP抗体陽性者においてより明らかであったが、喫煙が影響していることが考えられた。また、経口避妊薬の使用期間が長いほどリウマチのリスクを低下させる傾向があった。
授乳については、今回の研究では明確な関連は確認できなかった。

といったことになるかと思います。
なお、メカニズムの詳細は不明。

更年期のホルモン補充療法も含め、女性ホルモン(の投与)がリウマチの発症や病態に影響を及ぼすという報告は今回の論文を含め多く出ていますが、ホルモン製剤の投与がリウマチに良い影響を及ぼす可能性があるとしても、タバコを吸っているとその効果に恩恵を被ることはできないのかもしれません。

いずれにしても、ピルを飲んでいればリウマチにならないという話ではありません。
さらに詳しい検討が必要ですね。
ともかくも、タバコは吸わないようにしましょう。

この記事へのコメント

QRコード