日本臨床栄養学会に(ちょっとだけ)参加してきました(2)

日本臨床栄養学会にて、シンポジウム3「胎生期から一生を通じた栄養と健康、肥満、やせ」を聴講してきました。
抄録集と手元のメモから、内容を抜粋してみます。

S3-1「妊娠中の栄養と子どもの健康への栄養」久保田君枝先生(聖隷クリストファー大学)

・20年前と比較して、20歳代の女性のやせ(BMI 18.5以下)は12ポイント増加
・不健康なダイエット、不規則な食生活、ファストフードの食事、日常のストレス
・やせ志向の強い女性は、妊娠しても食習慣は変わらず、妊娠中も不規則な食習慣のまま妊娠期間を過ごす傾向あり
以上のバックグラウンドをふまえ、Baker説(胎児期の成長阻害が中年以降の生活習慣病を引き起こすという説)について説明されました。妊婦の栄養管理について、その方の妊娠前からの食習慣にも留意してケアしていくことに改めて注意が向けられました。

S3-2「胎生期の栄養と乳幼児期から小児期の健康について-成育コホートから見えてきたもの-」内木康博先生(国立成育医療研究センター)
・Baker説、DoHADについて
・成育医療センターでのコホート研究
・こどもの体型および糖代謝・脂質代謝には母親の影響が強い(母親の教育レベルも関連)
肥満モデルマウスを用いた動物実験についてのお話では、卵子から肥満が、精子から耐糖能異常が遺伝するとの興味深い論文が紹介されました。
また、最近妊娠糖尿病が増加しているが、妊娠前半期に低炭水化物食を摂ると胎児の脂肪細胞増加の可能性があり、これが初潮年齢の早期化とも関連している可能性についても述べられました。

S3-3「思春期のやせと肥満UPDATE」鈴木(堀田)眞理先生(政策研究大学院大学)
・学齢期女性に1/3-1/2に制限食、過食、嘔吐、ダイエットサプリ使用などの食行動異常がみられる
・摂食障害では、摂取エネルギーや三大栄養素だけでなくビタミン類や微量元素も不足
・成長期患者では、低栄養→インスリン様成長因子(IGF-1)低下→身長の伸びが低下、成長期以降にも骨密度低下
拒食症患者さんは、初診時の段階でおよそ半数が低骨量、25%が骨粗鬆症のレベルになってしまっているのだそうです。また動物実験では、妊娠中にマウスにダイエットをさせると、孫の代のマウスの成長にまで影響があるという知見が紹介されました。
なお、拒食症で無月経になってしまっている状況でも、その後治療で体重と月経が戻れば、30歳代までであれば骨密度は正常に戻る可能性があるそうです。(程度と期間により、戻らない場合もあり)

S3-4「青壮年期における栄養と課題」合田敏尚先生(静岡県立大学)
・健康寿命延伸のためには、食事の「質」「タイミング」を考慮すべき
・野菜や乳製品の適切な摂取をすべき=緑黄色野菜を含む食事によって、インスリン抵抗性の低下やアディポネクチンの上昇が期待される
CTを用いた研究から、皮下脂肪面積は肝機能検査のALT, gGTPと関連していること=これらが栄養指標として有用であるという、興味ある可能性が述べられました。またこれらのマーカーは炎症性サイトカインIL-1bとも関連しており、さらには「食べる速さ」が炎症も関係している可能性が示唆されていました。
そして、「スマート和食」についても紹介されていました。
食事の質、食べる速さ、ともに健康のため留意していきたいですね。

以上取り急ぎご報告でした。

学会に参加された皆様、もしよろしければ報告をお願いします

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