概日リズムのずれと交感神経系

皆様こんにちは。

今日は、睡眠の時間帯(睡眠時間でなく、時間帯ね)に関わる論文を紹介します。

Grimaldi D et al.
Adverse Impact of Sleep Restriction and Circadian Misalignment on Autonomic Function in Healthy Young Adults.
Hypertension. 2016 Jul;68(1):243-50.
doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.115.06847.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27271308

これまでに多くの研究で、睡眠不足が血圧を上昇させるということが報告されていますよね💤

でも、同じ時間だけ寝てはいるものの、寝る時間がずれている場合は? 
つまり、夜勤や時差ぼけの場合のように、概日リズムにずれや乱れがある場合(circadian malalignment)はどうなるのでしょうか。

今回の論文の著者Leproultらは、以前に同じ被験者での実験で、“概日リズムのずれはインスリン抵抗性や炎症を引き起こす”という報告をしています(論文が手に入る方はぜひ読んでみて下さい):
Leproult R et al.
Circadian misalignment augments markers of insulin resistance and inflammation, independently of sleep loss.
Diabetes. 2014 Jun;63(6):1860-9. doi: 10.2337/db13-1546.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24458353


今回の論文は、上記と同じ条件で、血圧や自律神経系についてのデータを解析したものです。
プロトコールが興味深いので、下記に紹介します。

対象:健康な若い男女(20-39歳)、男19名、女7名
普段の睡眠時間(自己報告による):7.5-8.5時間

まず実験に先立ち1週間、23時から7時までの睡眠を取るように指示。ちゃんと寝たかどうかはいわゆるリストウォッチ型活動量計でフォロー(※実は私も今Fitbitを買おうかどうしようか(以下略
なお、女性被験者については月経周期も大体合わせて実験開始しています。

そして次に入院しての実験となるのですが、最初に諸検査の後、

ベースラインとして、3日間22時から8時まで10時間睡眠を取ってもらった後、

グループ1:
8日間、0時30分から5時30分まで(5時間)睡眠を取る。

グループ2:
8日間のうち、
1日目、4日目、7日目、8日目:0時30分から5時30分まで(5時間)睡眠を取る。
2日目、3日目、5日目、6日目:9時から14時まで(5時間)睡眠を取る。

というふうにして、ポリソムノグラフィ(業務連絡:この検査覚えてますか?>卒業生の皆様)による睡眠評価の他、血圧や心拍数(自動血圧計による測定)、尿中ノルエピネフリンなどを測定したというものです。
すなわち、両グループともトータルの睡眠時間の設定は同じですが、普段の睡眠時間より3時間くらい短い、という設定です。
他の条件、例えば食事の時間や、カフェイン飲料の制限などはすべて共通でした。

結果:
・両グループとも、ポリソムノグラフィによる解析の結果、睡眠時間は同じくらい取れていた。
・日中の心拍数については、両グループとも普段より上昇していた。上昇の程度はグループ間で同程度であった。しかし血圧に著明な変化はみられなかった。
・尿中のノルエピネフリン排泄量は、グループ2で普段より著明に上昇した。
・期間中3回実施した睡眠中の心拍変動解析(Heart rate variability; HRV)では、両グループとも睡眠中の心拍数が普段より増加しており、特にグループ2では心拍変動解析の指標であるRMSSD(副交感神経機能を反映)の低下と、LF/HF(交感神経機能を反映)の上昇がグループ1に比べ著明に認められた。

ということで、
これらの結果から、睡眠不足や概日リズムのずれが、自律神経機能にネガティブな影響を与えることが判明した、というものです。

従って、このような影響が慢性的に続けば心血管疾患のリスクにつながるであろう、と著者は結論づけています。

夜勤や、夜の睡眠が制限される状況で過ごしている皆様、ぜひ時々は十分な睡眠を、なるべく早い時間に取れますように。

・・・・・

と書いてきましたが個人的には、被験者の

「普段の睡眠時間が7.5-8.5時間」

ってところで Σ(;゚д゚)!!

・・大人で普段8時間寝てる!?

彼らの「睡眠不足」は、我々(いや私か)の「十分な睡眠」かッ!?

という別の意味でのインパクトが若干あったような気もする論文でした。


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